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突然、夫からマンションに置き去りされ、離婚の裁判を起こされた妻の事件を引き受けました。「悪意の遺棄」という比較的珍しい背信的な事情が認められ、夫の離婚請求を打ち破ることができました。
夫はいわゆるDV夫でした。しかし暴力というムチと、ゲーム機など好きなおもちゃを自由に買い与えるというアメを巧みに使い分け、幼い子どもを手なずけていました。さらに、「自分さえガマンすればよい」と妻が忍耐を続けてきたのを便乗し、夫は、子どもと妻との母子関係を破壊することに成功しました。夫は子どもを連れて家を出て、妻は一人部屋に置き去りにされたのでした。しかも夫は、アルバイト収入しかない妻に生活費を一切渡さず、マンションの賃貸借契約もすぐに解除するという非情な仕打ちで臨んでいました。
裁判は、夫が妻に振るっていた暴力については客観的な裏付け証拠が乏しかったことから、一審では別居3年弱で離婚を認める判決が出ました。しかし東京高等裁判所では、当方の必死の主張・立証が実って、夫の行為は「悪意の遺棄」と評価され、離婚請求を退ける妻逆転勝訴の判決が言い渡され、確定しました。
夫婦の間に多少の別居期間があったとしても、このように離婚を求める側に背信的な落ち度がある場合は、離婚請求が認められないこともあるのです。
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