重ねたガマンも限度を超えて「いよいよ別居を」とお考えの女性の方に、最後に、念のためアドバイスをしていることがあります。それが、証拠の収集です。 
　「一日たりとも一緒にいたくない」という、そのお気持ちを押して、あえてアドバイスする理由は、別居してしまえば入手することができなくなる資料があるからです。
　当職は「念のため、もう一度探してみませんか？」と質問しています。
 
　外資系の金融会社に勤める夫の浮気に２０年にわたって苦しめられてきた女性から「子供たちも成人したので、今すぐにでも別居したい」という相談を受けた時もそうでした。
　事情をお聴きした上、当職は「もう少しだけ同居を続けて、離婚に有利になる資料はないか探してみることはできませんか」とアドバイスしました。
そして、女性に旦那さんの部屋や車をチェックしてもらったところ、出るわ出るわ・・・。
　複数の浮気相手と一緒に旅行をした高級旅館やレストランの領収書、浮気相手からの手紙、一緒に記念撮影した写真。預金など財産状況も、すっかり解明することができました。
　これらをすべてコピーしてから、女性は念願の別居を果たしました。
 
　別居した直後、女性は、浮気相手の女性３人に慰謝料の請求をし、計５００万円を確保。金融会社のバリバリの幹部で高給取りの旦那さんには、即座に離婚するよりも婚姻費用をもらい続けるほうが有利とみて、婚姻費用分担請求の調停を申し立て、相応の婚姻費用をキープすることができました。
 
　旦那さんが、どの銀行の、どの支店に、いくらくらいの預金があるか。どの証券会社を使って、どんな株式や金融商品を保有しているか。社内預金や財形貯蓄の残高はどのくらいか。
　旦那さんの浮気相手は、一体どこの、だれか・・・。 
　相手の財産や浮気に関する情報や証拠は、ほんのちょっとしたことでも、あればあるだけ有利になります。
 
　感情にかまけて家を飛び出してしまったら、後から収集するのはほとんど不可能です。
　旦那さんから暴力を受けているなど、特別の事情がある方は別ですが、もう少しだけガマンできるならば、調査を尽くしてみるという選択を考えてみてはいかがでしょうか。